健やかな空気が満ちる。 パッシブ換気の都市型住宅
近年、道央圏では建築材料や地価の高騰などによって、住宅の狭小化が進んでいます。限られた敷地条件でも、住まう家族には健やかな暮らしをのびのびと楽しんでほしい。そんな想いから、このたび奥野工務店は江別市にて「文京台モデル」を完成させました。場所は、古くから開けた住宅街にある約38坪の敷地です。
2人の子どもを育てる30代のご夫婦の家族4人暮らしを想定した住まいは、1階にLDKや水まわり、和室、2階に家族の個室とテレワーク室をレイアウトした木造2階建て。上下のフロアは、大きな採光窓を備えた吹き抜けでつながり、住宅街の中にあるのを忘れるほど、明るく開放的です。
ZEH Oriented（オリエンテッド）の性能を備えた高断熱・高気密仕様の建物（UA値 0.23、C値0.3）には、当社がおすすめする「パッシブ換気」を採用しています。床下に採り込んだ外気を温めて室内へ給気するパッシブ換気は、24時間きれいな空気を自然の力で循環。メンテナンスフリーでありながら、結露やカビの心配がない健康的な室内環境を実現できます。
さらには高い断熱性、省エネ性を生かし、1階のみに床下暖房の温水ラジエーターを設置。その熱を空気の対流によって2階へも運んでいます。「建物を一つの箱と考えると、これまで設置していた2階の個室の温水ラジエーターが不要になりました。その結果、暖房設備の初期費用も大幅に圧縮できました」と、このモデルハウスを担当した狩野泰孝さんは胸を張ります。
建築時の初期費用と、毎日の光熱費の削減を叶えながら、健やかでのびやかな暮らしを都市部でも実現できる提案型モデルハウスは、これからの北海道の住まいづくりの一つのお手本と言えそうです。
Reported by Replan
外壁材の一部に江別産のレンガをあしらい、ファサードに変化を持たせている
階段を上ると正面に玄関ドア。屋根と壁に囲まれていて、雨雪や風を避けることができる
玄関ホールはゆとりの広さを確保。すぐ隣に水まわりをレイアウトし、帰宅後の手洗いもスムーズにできる。右手には大型のシューズクロークも完備
LDKと玄関は、間仕切りなしでつながる設計。高い住宅性能とパッシブ換気で、玄関もリビングも同じ室温が保たれている
LDKの一角には、多目的に利用でき、個室にもなる和室を配した。ブルーの壁紙がシンプルな空間のアクセントに
ダイニング・キッチンとリビングはL字型にレイアウト。リビングにソファが置きやすいよう、和室は壁と室内窓で間仕切りしている
LDKと玄関まで続く廊下の床には、足触りの良いナラ無垢材を採用。ダイニング・キッチンからは、1階全体が見渡せる
階段下のデッドスペースを活用したキッチンの背面収納棚やダイニングテーブルは、自社大工による造作。対面キッチンの壁のルーバーの奥には、床下ラジエーターが収納されている
生活の要とも言える水まわりは、玄関ともキッチンともつながる動線で、家事が効率よく行える
外光を採り込むハイサイドライトが、開放感と明るさを演出。頭上に広がる吹き抜けは、床下暖房の熱や空気の通り道にもなっている
2階の階段ホールには、家族のスタディコーナーとして活用できる造作カウンターを設置
階段ホールの天井にはパッシブ換気の排気口。開閉は湿度によってコントロールされていて、ここから室内の汚れた空気を外へ排出する
2階にはテレワーク用の個室も設けた。吹き抜けに面してフィックス窓で仕切られていて、生活音は遮断しつつも閉塞感のない空間を実現している
アクセントウォールが映える収納付きの子ども室が2部屋。室内の仕上げには、シックハウス対応の体に優しい素材が用いた
収納量たっぷりのウォークインクローゼットを備えた2階寝室。収納が充実していると、比較的コンパクトな住まいでもすっきりと快適に暮らすことができる
| 延床面積 | 106.55㎡（約32坪） |
|---|---|
| 工法・構造 | 木造軸組（パッシブ換気採用） |
| 施工年月 | 2022年10月 |
| 所在地 | 江別市 |
