建築関係の仕事に携わっているTさんは以前から、きれいな空気を自然の力で24時間循環させる省エネ性の高い「パッシブ換気」に注目していました。賃貸暮らしをしていたTさん一家が、新築を思い立ったのは2022年のこと。祖父母の代から住んでいた土地で暮らしていたご両親がマンションへ転居し、「空いた実家に住んでは?」とすすめられたのがきっかけでした。
しかし、設備も建物も古くなった実家は大がかりなリノベーションが必要な状態。同じ費用をかけるならと、Tさんはパッシブ換気を採用した高断熱・高気密の住まいづくりを手がける奥野工務店に建て替えを依頼することに決めました。
ご夫妻が希望したのは、気軽に友人や親族を招いてお酒や料理でおもてなしができる家。Tさんは「15年来の趣味であるダーツ競技を自宅でも楽しみたい」とも考えていました。その夢を叶えるため、1階は開放的な集いのスペースに。キッチンは壁付けにし、ダイニング・キッチンとゆとりの広さのリビングをL字に配しました。リビングの壁には造作のダーツボードも設置。「ダーツボードの取り付け位置は、大工さんと一緒に考えました」と、試行錯誤の時間も今は良い思い出です。
2022年10月中旬、待望の新居が完成しました。「朝起きたら既に暖かく、空気が自然で気持ちいいのに驚きました」と奥さん。暖房や給湯に都市ガスを採用した新居の光熱費は、ご両親が住む2LDKのマンションよりも安かったそうで「性能の違いを実感しました」と、Tさんは話します。
ご夫妻の理想を詰め込んだオープンなLDKは、「ダーツバーのようでおしゃれ」とゲストにも大好評。「大工さんをはじめ、皆さんの仕事ぶりがとても丁寧で、安心して家づくりをお任せできました。休日の充実度が格段に増しましたし、代々住み継いできた土地を未来へ活かすことができて嬉しい」と、笑顔を見せるTさんです。
Reported by Replan
こもり感が心地いいダイニング・キッチン。木目調のクロスを張って仕上げた下がり天井とし、温かく落ち着いた雰囲気に仕上げた
白を基調にしたリビングは、テレビまわりにアクセントクロスを張り、最小限の採光窓のみを配置
吹き抜けとハイサイドライトがのびやかな空間をつくり出す。LDKの一角には、防音に配慮した造作ダーツボードを設置。好きなダーツが気兼ねなく楽しめる
造作したダーツボードは、矢が刺さったときの衝撃音が壁に響かないよう工夫した
下がり天井と同じ木目調クロスで仕上げたキッチン側の壁は、頭上5.5mに延びる吹き抜けをより高く見せる。床はナラ無垢材を用いた
床に設えたスリットから、冷気と暖気が自然エネルギーの力で行き来する。パネルヒーターや暖房器具を用いないパッシブ換気は、空間の自由度を上げる効果も
造作ルーバーの奥は、外気挿入口とつながっている。床下に採り込まれた外気は、床下に設置した暖房機器で暖められ、壁の隙間を伝って家中を巡る
2階ホールは1階から自然対流する暖かな空気の通り道にもなっている。空気の流れを促す通風用の小窓も設けた
カウンターテーブルを造作した2階ホールのスタディコーナーは、家族共用。子どもたちの学習スペースとしても活用する予定
2階の子ども室のクローゼットは扉の代わりにカーテンを取り付け、コンパクトな部屋の圧迫感を軽減した
造作洗面台は、ランドリールームと緩やかに分けて配置した。ゲストも気兼ねなく使いやすい
玄関からは水まわりとLDKへそれぞれつながる2wayの動線をプランニング。土間には床下暖房を採用した
玄関ポーチや扉の木目が、シャープな印象のファサードに優しさをプラス
建物の床下に新鮮な外気を送り込む「パッシブ換気」の吸気筒
外から見えにくい位置に「パッシブ換気」の排気筒を施工。機械的な動力は用いず、自然の力で余分な空気が排出される
公道側には開口を設けず、外部の視線を遮断。奥野工務店の提案で、玄関前には除雪の手間を最小限にできるようカーポートを設置した。ツートーンの外観が目を引く
家族構成 | 夫婦30代、子ども2人 |
---|---|
延床面積 | 109.15㎡(約33坪) |
工法・構造 | 木造軸組(パッシブ換気採用) |
施工年月 | 2022年10月 |
所在地 | 札幌市 |